2010年5月27・28日に第3回子どもの権利条約日本審査(審査は5年ごとに実施され、今回が3回目となります)が、ジュネーブ国連子どもの権利委員会で行われ、6月11日に総括所見(勧告)が出されました。
今回の勧告の最大の特徴として、子どもの貧困・格差および家庭環境の問題に焦点があてられたという報告がありました。子どもの成長の場として、家庭の重要性、家庭の機能の崩壊について国連が言及したことの意味はきわめて大きいということでした。
この日、法務省、内閣府、厚労省、文科省、防衛省より出席がありました。この所見をどのように扱おうとしているのか、実施にまわす為の方策として何を考えているのかなど、いずれの省庁からもピンと来る発言がなかったのは縦割りの弊害というのか・・・残念でした。
日本が子どもの権利条約を批准し15年が経ちますが、子どもの権利に関する条例を制定した自治体は全国でまだ20に留まり、子どもの権利の保障は置き去りのまま今日に至っています。
日本の子どもたちは不登校やいじめなど多くの問題を抱えており、虐待などおとなからの人権侵害も後を絶を絶ちません。
第3回総括所見で指摘されたように、これまでの日本政府は2回の総括所見に対して誠実に回答しているとはいえないし、実際に多くを実施していないと見られています。
第3回の総括所見も同じことにならないように、政府は国会議員・市民(NGO)とともに総括所見のフォローアップシステムを構築してほしいと思いました。<いちかわ・かずこ>