55名の方から回答を頂きました。ご協力に感謝申し上げます。
介護保険がスタートし、介護サービスが導入され、家族の介護負担の一部を社会が担うようになりました。しかし、未だ現状では「介護の社会化」の実現には程遠く、依然として介護家族の肉体的、精神的負担が大きいことには変わりありません。
近年、核家族化により夫婦だけの老々介護が増えました。その実態として多くの高齢女性が家庭での介護を担っている現状が読み取れます。今回のアンケートからも施設入所を希望するという回答はかなりありました。
品川区で特養老人ホームの待機者は550人といわれています。施設入所を希望する人が激増する状況というのはまさに「家族が疲弊し、ギブアップせざる得ない状況」をものがったているのではないでしょうか。
アンケートから、介護家族の負担軽減へ向けて以下のようなことが考えられました。
①介護給付金のあり方の見直し
一人当たりの介護サービス利用額は在宅と比べ施設利用者は約4倍の保険給付を受けているといわれています。在宅の場合はそのほかに住居費や光熱水費もかかります。家族や要介護者本人に必要十分な給付が行われるしくみが必要だと思います。
②地域コミュニティづくり
「介護の情報を得たい」「悩みを相談したい」と思ったとき介在してほしいのは、まず、同じ目線で語り合える先輩の存在であり、サービスを実際に使った家族の生の地域情報です。そうした地域のコミュニティづくりも視野に入れたまちづくりは必要です。
③ショートステイの量と質の拡充
緊急時のショートステイを望む声もありました。冠婚葬祭や介護者の急病など緊急の場合にはさらに確保が難いのが現状です。介護者が肉体的精神的にも健全でいられる環境づくりは必要です。在宅介護者の介護継続の命綱となるショートステイです。
④ホームヘルプサービスの充実
ホームヘルパーによる訪問は単に家事の提供というだけでなく、社会とのかかわりそのものであり、貴重なコミュニケーションの相手でもあります。介護者にとっても閉塞しがちな家庭に外から空気を入れてくれる貴重な存在となっていると考えられます。
アンケートに寄せられた多くの声をまとめる中で、要支援を含めた高齢者本人や介護家族の声を真摯に受け止めた上で、利用者の視点を第1に介護保険制度改正へ向けた働きかけが必要であると思いました。<いちかわ・かずこ>
アンケートの内容
1.介護を経験したことがありますか。
2.介護した方はどなたですか。
3.介護は何人で担いましたか。
4.介護をつらいと感じたことはありましたか。
5.①何がつらかったですか。
②つらい時はどうされましたか。
6.品川区の「在宅介護者激励つどい・宿泊研修」に参加したことがありますか。
7.家族による在宅介護に関しての思いやご意見を自由にお書きください。
8.ご自分が受けたい介護はどのようなものですか。