超高層住宅には建物・設備の仕組み、居住者の構成など、中高層住宅とは異なる特性があります。
これまで大規模な地震を経験していないため、さまざまな危険が指摘されながらも、居住者および管理組合の防災・減災の意識や取り組みが不十分なところが少なくありません。
5月16日(日)東京海洋大学 越中島キャンパスにおいて、フォーラムが開催され、地震防災の第一人者である翠川三郎教授の基調講演のあと、超高層住宅の地震対策に積極的に取り組んでいる中央区防災課、超高層住宅を多数供給している都市再生機構、マンション・ビル管理会社、居住者等によるパネルディスカッションを行い、超高層住宅の地震対策のあり方について意見交換がされました。
基調講演では、「長周期地震動と超高層住宅」のテーマでおもに超高層住宅の3つの課題について伺いました。
①超高層マンションでは、倒壊より、室内の激しい揺れによる家具等の転倒落下が心配。家具を固定する場合も、戸建て住宅のそれとはレベルの違う対策を講じる必要がある。
②この「長周期地振動」での長いゆれにより「恐怖」から「パニック」を起こし、その状態で階段に大勢の人が殺到したら、大変な事になるのは明らかです。現実の避難用の階段などは大丈夫なのか。
③大震災時の超高層マンションの課題は、エレベーターや電気・ガスなどライフラインの停止で高層階に孤立する「高層難民」。これにどう取り組むべきか。
パネルディスカッションでは・・・
他の地域から転入してきた「新住民」が多いことで助け合う意識が希薄といった課題がある中で、災害時での自助、共助の仕組みをいかに作るかの話しがされました。
品川区でも大崎、五反田、大井町を中心に、100メートル以上、または30階以上の高層マンションが続々建設されつつあります。超高層住宅の地震対策のあり方は今後の大きな課題です。<いちかわ・かずこ>