建設委員会行政視察② 環境モデル都市“堺市”の「自転車を活かしたまちづくり」

建設委員会行政視察2日目は、「環境モデル都市」「自転車を活かしたまちづくり」のテーマで大阪府堺市を訪問しました。

堺市は人口約83万人、34万世帯、面積は約150平方キロメートル。品川区の2.5倍の人口で、3,5倍の面積です。
2006年に政令指定都市となり、今年の1月に環境モデル都市に指定されました。

環境モデル都市とは、温室効果ガスの大幅な削減など低炭素社会の実現に向け、高い目標を掲げて先駆的な取組にチャレンジする都市を10か所選び、環境モデル都市の創出に自治体と連携して取組むため、内閣官房地域活性化統合事務局が募集した事業です。
北海道から沖縄まで82件(89団体)が応募し、環境モデル都市としては大都市は京都市、堺市、地方中心都市は長野県・飯田市、愛知県豊田市、小規模市町村では宮古島市など、東京都特別区では千代田区が選ばれました。

堺市は、2020年までにCO2排出量を15%削減。2030年までには30%削減。2050年までには60%の削減(いづれも2005年度比)を目標としています。
クールシティ堺への取り組みの基本的な視点として、以下3つの新機軸による取り組みとしています。
「産業構造の転換」「都市構造の変革」「環境文化の創造」
取り組み体制としては市民、企業、大学、行政が協働して「環境都市推進協議会(仮称)」を設立し事業を推進していくとのことです。

自転車を活かしたまちづくりとしては、市内を走る鉄道会社3社と連携した「堺eco観光」を始め、各鉄道の駅間を、散策とサイクリングで結ぶという環境に優しい観光を推進するということです。
そのほかにレンタサイクルの構築、市民とつくる自転車まちづくりの取り組み、自転車通行環境の整備について、小学校4年生の授業で取り組む自転車運転免許制度の説明を聞きました。

堺市は、問題をてこにして地域を活性化してゆくというのが大きな狙いであるとしています。地方が元気の無い中でこうした取り組みを応援し、大都市のモデルとなることを期待します。

品川区は今年度、地球温暖化対策の地域推進計画を策定し、区民、事業所、エネルギー事業者、区が行う取り組みを明らかし、温室効果ガスの削減を促進して行きます。

環境対策は、行政が暴走するのではなく、住民といかにコミュニケーションをとっていくかにかかってくると思います。
行政が目標を示しながら皆で議論し、一段高い所へ進む。その結果が見えれば、住民の意欲がわき、行政も自信を持ってさらに前へ進んでいける。あるいは、行政が国に対していろいろな制度改革を提言し、地域の皆さんは実施していただくというように、お互いの適正な役割分担の中でそれぞれがベストを尽くす。環境分野だけでなく他の分野でも、自分たちで物事を解決していくことへの可能性が広がり、それが自信にもつながっていくように思います。市民不在の構想・・・なんてあってはいけないことです。
<いちかわ・かずこ>

写真:小学校で配布される自転車運転免許書