「小1プロブレム」対応策、園児から小学生の一貫教育を品川区が発表

政策内容の検討は当事者参加で行うべき

小学校に入って授業中に歩きまわる、教室を飛び出して帰ってこないなど、集中できない子どもたちが増えている中、こういった「小1プロブレム」に対応できる品川独自のカリキュラムを作成し、小学校入学前の10月ごろから小1の6月ごろまでを対象に園児から小学生の一貫教育を進める。入学前に、1けたの足し算・引き算や、ひらがなの読み書きなどを学ばせるだけではなく、子どもたちが小学校の集団生活に対応できるよう、協力することによって満足感を得る体験をさせることを検討している。
このような保育園・幼稚園・小学校の教育方針にかかわる内容が、3月26日の朝、朝日新聞の一面トップで発表されました。

センセーショナルに報道されたこの日は、2009年度の予算特別委員会の最終日。委員会として予算原案に対しての賛否を決める日。予算もまだ通っていないのに報道が先となっています。本来ならば、予算が通り、当該の委員会で報告を行い、その上でマスコミへのプレスリリースが一つの筋ですが、これまでの一連の教育改革推進の手法と同様、またしてもこの手続きを踏んでいません。地方議会における合意形成のあり方、議会の役割をどのように考えるかという点では本当に疑問です。

2010年度には、一部の幼稚園などで実験的に運用を始め、その結果をふまえて2011年度から本格的に、園児 – 小学生一貫教育を実施できるように目指したいとしてますが、2009年度予算では、この経費としては、保幼小連携推進組織の立上げと園児から小学生への接続の道筋をどのように作っていくかを検討するための経費として10万円が計上されているだけです。

予算委員会の質疑では、今後のことはこれから検討されるとの答弁だが、報道では、入学前に1けたの足し算・引き算や、ひらがなの読み書きが出来るようにとか、英才教育ではなくとか、現行の制度に反するものではない・・・など、内容が異なり、目的もどうとらえていいのか不明確です。

 小1プロブレムの実態の把握、起きる要因の分析、スムーズな移行を目的に3年前から行われている品川区の保幼小の交流事業の成果や課題など保護者を含め教員・保育者で検証し、トップダウンですすめるのではなく、今後の方針を当事者とともに展望するべきではないでしょうか。<いちかわ・かずこ>