後期高齢者医療制度(1)

医療リスクの高い世代を集め、支えあいになるのか


4月から「後期高齢者医療制度」が始まった。これによって大きく変わるのは被保険者の範囲と保険料、および診療報酬体系で、75歳以上の(一定の障がいがある場合は65歳以上)一人一人が保険料を負担することになる。
増大する医療費を当事者世代も応分に負担する制度とされるが、特に医療リスクの高い世代を集めることが支えあいのしくみとして機能するか、また、周知の方法においても自治体間格差が大きく生じるなどの問題も指摘されている。

被扶養者にも新たな負担!
東京都の保険料は、均等割額(被保険者一人当たり年37,800円)と、一人ひとりの所得割額(総所得から基礎控除33万円を引いた額×6.56%)の合計にる。限度額は年50万円と定め、所得が年33万円以下ならば均等割額を7割軽減(年11,300円)他、5割、2割の軽減措置がる。
今まで家族の扶養に入り保険料負担の必要がなかった高齢者も新たに保険料が発生し、徴収は年金から天引きとなる。
国は75歳以上を「後期高齢者」と区別することについて、①複数の病気にかかっている。治療期間が長い②認知症が多い③終末期に近いという特徴があると説明し、新しい制度のもとで在宅医療の充実、介護サービスの連携強化などをあげてる。
しかし、医療給付費が増えれば、保険料も増加するほか、後期高齢者の人口が増えれば、保険料を引き上げる仕組みとなっている。

「ペナルティー」の導入も!
また、長期間保険料を滞納した場合、保険証の返還を求められ、代わりに「資格証明書」が発行される。これは、これまで所得の不安定な高齢者や障がい者は交付の対象ではなかったが、新制度では導入が決定されたもの。資格証明書では本来1割負担の医療費をいったん全額支払わねばならず、受診抑制、重症化に繋がりかねない。こうした「ペナルティー」の導入も暮らしを支えるべき制度の根幹を揺るがす問題であり、多くの課題を抱えた国の制度といえる。<いちかわ・かずこ>