2008年の新年の集いは、原発使用済み核燃料再処理工場と隣りあわせで暮らす人々を追った鎌仲ひとみ監督のドキュメンタリー映画「六ヶ所村ラプソディー」の上映を中心に行った。参加は80名を上回った。
自治体が受け入れを決めてから20年以上が経ち、反対運動も下火になり、最近はマスコミに大きく取り上げられることはなくなった。
六ヶ所村の再処理工場は国策である「核燃料サイクル」の中核施設。原子力発電で使われた使用済み核燃料から、新たな燃料となるプルトニウムを抽出する役目を持つ。作業員被爆や放射能を含む溶液もれなどトラブルが多発しているが、2008年2月の本格稼動の予定である。
六ヶ所再処理工場の本格稼動の課題は以下の点。
・使用済みの核燃料を処理する過程で、工場敷地内の排気塔から空に、沖合3km地点まで引かれた放水
管から海に、大量の放射能が放出される。
・一日で放出される量は「原子力発電所が1年間で放出する量」に匹敵。
・ガスはチェルノブイリ事故の10倍、排水は47,000人分の致死量にあたると言われている。
・放射能はプランクトンや魚、植物等によって生態凝縮され、人間が食べ物から摂取した場合は、数万倍から
数百万倍の濃度になると予想される。
・原発に比べ、この工場は桁違いの放射能を日常的に放出するにもかかわらず、アセスメント(環境影響評価)は行われていない。
・高いコストをかけて使用済核燃料を処理しても使い道もなく、資源節約にもならない。
・核兵器を持たない持たない国でここまで巨大な再処理工場を持っているのは日本だけ。
今まで知らなかった多くのことを映画と鎌中監督の話から知った。
六ヶ所村に生きる・・
それはすべての日本人が負うべき難題を引き受け、向き合って生きるということ。都会の電力をまかなうためになぜ・・・六ヶ所村に生きる人々のやるせなさがひしひしと伝わった。
やがて原子力の資源もなくなる日が来るだろう。唯一の被爆国である日本に必要なのは、再生可能エネルギー100%を目指し、そのために全力で研究し、投資も惜しまない姿勢ではないだろうか。
そして、今、私たちにできることは・・・ 再処理の問題に関心を持っている人たちをたくさんつくっていくこと。今日の80名から「六ヶ所再処理工場はいらない!」が大きなうねりになることを期待する。≪いちかわ・かずこ≫