現代の原宿・竹下通り、「1945年8月6日に何が起きたか知ってますか?」の問いに「わからない」「地震?」とインタビューに応える若者の映像からこの映画は始まった。
広島と長崎で被爆した14人の市井の人の証言を軸に、実際に原爆投与に深く関わった4人のアメリカ人の証言も織り交ぜながら、原爆投下前の街や生活、投下直後の様子、その後に「ごく普通だった生活」がどのように変わってしまったかを貴重な映像や証言で淡々と冷静にしかし克明に描いていく。
自ら身体の傷や心の傷をカメラの前にさらけ出し、戦争の悲惨さとおろかさを伝えくれた証言者の苦しみと思いを私たちはしっかり受け止めなければいけないと思う。
原爆を体験した国は世界で日本だけ。私たちにできることは繰り返し繰り返しこの決して忘れてはいけない事実を伝えていくこと。そのことをこの映画は教えてくれた。
この悲劇から60数年しかたっていないのに、現在、世界には広島に投下された原子爆弾の40万個に匹敵する核兵器があるといわれている。また、2001年の9月11日の同時多発テロ事件以来、核兵器による大量殺戮も現実化の様相を呈してきた。
この映画は広島に原爆が落とされた8月6日に全米で放映予定があると聞いた。いいことだと思う。
是非、日本でも放映され、広島・長崎で起きたことを知らしめ、核兵器の脅威に警鐘を鳴らす役割を果たしてほしいと願う。
明日、8月15日は、62回目の終戦記念日。多くの犠牲の上にある今の「平和」の大切さを噛みしめる一日としたい。
<いちかわかずこ>